- 2020/03/19
こちらの動画は、
プラトンの対話篇
『ゴルギアス』の中でも、
ソクラテスと
ゴルギアスの弟子であるポロス
との論争
(ポロス編)の前半部分を、
ずんだもんとめたんの掛け合いで
分かりやすく解説したものです。
主な内容は以下の通りです。
1. 議論の背景とソクラテスの「生善説」
道場破りのソクラテス
弁論術の大家ゴルギアスを
論破したソクラテスに対し、
弟子のポロスが激昂して
議論を挑みます。
ソクラテスの戦略
怒るポロスに対し、
ソクラテスはまず彼を
「助けてくれる若者」
として褒めることから始めます。
これは相手の怒りを受け流し、
議論を本筋(心理の追求)に戻すための
高度な戦術です。
2. 弁論術の正体:「料理術」と同じ「追従」
ソクラテスは、
弁論術を「技術(テクネー)」ではなく、
単なる「熟練(経験知)」であり、
相手を喜ばせるだけの
「追従(ついしょう)」に過ぎないと断じます。
料理術と医術
身体にとって
本当に良いものを知っているのは
「医術」ですが、
美味しいもので誤魔化すのが
「料理術」です。
弁論術の地位
魂にとって
本当に良い正義を知っているのは
「立法・司法」ですが、
弁論術はそれらしく見せかけて
魂を喜ばせるだけの、
いわば「魂の料理術」であると
批判しました。
3. 「力」についての逆説
ポロスは、
弁論家や独裁者は
「自分の思い通りに
人を殺したり
財産を奪ったりできるから、
大きな力を持っている」
と主張します。
これに対し、
ソクラテスは驚くべき反論を展開します。
「望むこと」と「良いと思うこと」の区別
人が何かをする時、
本当に望んでいるのは
その行為自体(例:苦い薬を飲むこと)ではなく、
その先にある「目的(例:健康になること)」です。
独裁者の無力
もし独裁者が
「良いと思って」人を殺しても、
それが結果的に
自分に害をなす(=悪である)ならば、
彼は自分の本当の望み
(=自分にとって良いこと)
を達成できていません。
結論
したがって、
自分のしていることが
自分にとって
「有益」であることを証明できない限り、
独裁者は
「最も力がない存在」であると
ソクラテスは論破しました。
まとめ
動画では、
ソクラテスの
「理詰めで相手に間違いを認めさせる」
激しい議論のスタイルを紹介しつつ、
単なる言葉のテクニック(弁論術)よりも
「正しさ(有益さ)」
を理解することの
重要性を説いています。
この後、
納得できないポロスとの議論は
さらに深まっていきます。
こちらの動画は、
プラトンの対話篇『ゴルギアス』の
「ポロス編」の後半部分を解説したものです。
ソクラテスとポロスの議論を通じて、
「不正をすること」と
「不正をされること」のどちらが
より不幸かという究極の問いに切り込んでいます。
主な内容は以下の通りです。
1. 不正についての対立する見解
ポロスの主張
不正をされる方が不幸であり、
不正をして罰せられない方が得(幸せ)である。
現実の独裁者のように、
思い通りに人を裁ける力は
羨ましいものである。
ソクラテスの主張
不正をすることこそが
最大の悪であり、
「不正をする者」は
「不正をされる者」よりも
不幸である。
さらに、
不正をして罰を逃れる者は、
最も哀れであると説きます。
2. ポロスの弁論術(議論のカード)
ポロスは論理的な反論ができないため、
以下の3つのような弁論術的テクニックを使いますが、
ソクラテスはそれらをすべて退けます。
①「みんな言ってるよ」論法(多数派工作)
マケドニアの王アルケラオスの例を出し、
「不正をしても
幸せな人はたくさんいる。
世間もそう認めている」
と主張。
ソクラテスは
「真実は多数決では決まらない。
君一人を証人にできなければ
議論に意味はない」
と一蹴します。
②「怖い話」で脅す
不正をした者が捕まり、
凄惨な拷問を受ける描写をして、
それでも不正をする方がマシ
と言えるのかと脅します。
ソクラテスは
「それは議論に関係ない」
と相手にしません。
③ 嘲笑(馬鹿にする)
誰も支持しないような極論を言う
ソクラテスを笑い飛ばします。
ソクラテスは
「政治的な多数決には興味がない。
君の理性が私の問いに
どう答えるかが重要だ」
と返します。
3. ソクラテスの論理的帰結
ソクラテスは
「立派(美しい)」と
「醜い」の基準を、
「有益さ(善)」と
「快さ(喜び)」の2点に求めます。
不正をする vs 不正をされる
不正をされる方が
「苦しい(不快)」が、
不正をする方が
「悪(有害)」において勝っている。
もし「不正をする」ことが
「不正をされる」ことよりも
「醜い」のであれば、
それは「苦しみ」か「悪」のどちらか
(あるいは両方)
で上回っているはずである。
不正をする方が苦しくない以上、
それは「悪」において
上回っているからこそ「醜い」のである。
結論
より悪く、
より見にくいものを選ぶ人間はいない。
したがって、
不正をする方が不正をされるよりも悪い
(不幸である)という結論が導き出されます。
まとめ
動画では、
感情や世論に流されず、
一問一答を通じて
相手自身の口から
「正しさ」を認めさせる
ソクラテスの強力な対話術が描かれています。
ポロスは
この論理の網に絡め取られ、
最終的に自分の主張を
否定せざるを得なくなります。
こちらの動画は、
プラトンの対話篇『ゴルギアス』の
「ポロス編」の完結回を解説したものです。
ソクラテスがポロスを完全に論破し、
「不正を犯して罰を受けないことが、
人間にとって最大の不幸である」
という逆説的な結論を導き出します。
主な内容は以下の通りです。
罰を受けることは「良いこと」である
ソクラテスは、
不正を働いた者が
正当な罰を受けるプロセスを
「魂の治療」に例えます。
魂の病としての不正
財産の悪が「貧乏」、
身体の悪が「病気」であるように、
魂の最大の悪は「不正」である。
治療としての刑罰
病気になれば
医者に通って
苦しい治療(切開や投薬)を受けるのが
有益であるのと同様に、
不正を犯した魂は
裁判官(司法)によって罰せられることで、
その悪から解放され、
健康を取り戻すことができる。
最大の不幸
したがって、
最も不幸なのは
「魂に重い病(不正)を抱えながら、
罰から逃げ回り、
治療を受けずに悪を持ち続ける者」である。
弁論術の「本当の使い道」
ポロスが「力」として称賛していた弁論術について、
ソクラテスはその価値を完全に逆転させます。
自己告発のための道具
弁論術が
本当に役立つ場面があるとするならば、
それは自分の不正を隠すためではなく、
むしろ自分や身内の不正を
白日の下にさらし、
一刻も早く罰を受けさせて
魂を浄化するために
使われるべきである。
敵への復讐
もし敵に
最大の復讐をしたいのであれば、
彼を罰から逃れさせ、
魂が腐り切ったまま(=不正なまま)
長生きさせるように
弁論術を使うべきである。
議論の帰結
ソクラテスは、
以下の3点を真実として
ポロスに認めさせました。
① 不正をされるよりも、不正をする方が悪い(醜い)。
② 不正を犯して罰せられることは、魂にとって有益(善)である。
③ 不正を犯して罰せられないことは、あらゆる悪の中で最大(最悪)である。
まとめ
動画では、
感情的な抵抗を見せていたポロスが、
ソクラテスの緻密な論理(一問一答)によって、
自らの主張とは真逆の
「不正をする者は哀れである」
という結論に
同意せざるを得なくなる過程が描かれています。
次回からは、
さらに強力な論敵である
カリクレスが登場し、
これまでの道徳的・慣習的な議論の
土台そのものを揺さぶる
新たな戦いが始まります。