【現象学とは何か】第一部①現象学という運動(1/7)

この動画は、
田口茂氏の著書
『現象学という思考』をテキストに、
哲学の一領域である
「現象学」の入門的な概念と、
その探究の姿勢について
約30分にわたり詳しく解説しています。

1. 現象学とは「自明なものの知」

当たり前を問い直す

現象学は、
あまりにも確かで当たり前すぎるために、
普段は沈黙のうちに沈んでいる
「自明なもの」
をあえて問い直す学問です。

創始者フッサールはこれを
「自明なものの学」と呼びました。

沈黙の世界の探求

雨が降っているときにわざわざ
「雨が降っているのは確実だ」
と言わないように、
自明なことは語られません。

現象学は
この語られない広大な世界をテーマにします。

2. 科学的探究との違い

前提にするか、問うか

科学は当たり前の現象
(例:リンゴが落ちる)を前提とし、
その奥にある驚くべき新事実
(例:重力)を探します。

対して現象学は、
その「前提とされている当たり前」
(例:見るとはどういうことか)
そのものを問題にします。

日常の問いへの応答

科学的な専門知識で日常の問い
(例:空はなぜ青いの?)
に答えても、
生の実感としての
答えにはならないことがあります。

現象学は、
専門知に逃げず、
日常の経験の構造を
そのまま記述しようとします。

3. 現象学の問い方とスタイル

一歩一歩、徒歩で

フッサールのスローガン
「高額紙幣(大きな理論)ではなく
小銭(細かな観察)で払え」
が示す通り、
自分の足で一歩ずつ、
問いに近づく誠実な姿勢が求められます。

自ら入り込む

客観的な説明を読むだけでなく、
自分自身が現象学的な探求
(実践)に自ら入り込み、
思考の道を実際に歩いてみることが、
正確な理解への近道です。

4. 現象学は「理論」ではなく「運動」

多様な分野への援用

既存の理論では
解決できない問題に直面している
看護、介護、社会活動などの現場で、
現象学的な視点が取り入れられています。

問題の開示と共有

現象学は一つの完成された体系ではなく、
多くの人々が同じ
「事象(事柄)」に直接向き合い、
互いに教え合い、
批判し合いながら進んでいく「運動」です。

心理は運動の中にある

真理(確かさ)は
どこかに固定されて転がっているものではなく、
私たちが問い、活動し続ける
「運動」の中にのみ存在します。

結論

この動画の結論は

現象学とは、
日常に埋没している
『当たり前』という謎に自ら分け入り、
既存の科学や理論というフィルターを通さずに、
事象そのものと直接対峙し続ける
知的な『運動』である。

それは孤独な体系作りではなく、
多様な人々が同じ問いを共有し、
一歩ずつ徒歩で真理に近づこうとする
終わりのない探求の姿勢を指す

という点にあります。

理論を暗記するのではなく、
自分自身の経験を問い直す
「思考のスタイル」
を身につけることが
現象学の入り口であると強調されています。

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