- 2020/07/03
この動画では、
ドイツ観念論の先駆者であるフィヒテが、
カント哲学を乗り越え、
いかにして「自由」と「自我」を中心とした
独自の体系を築いたかを解説しています。
1. カント哲学の継承と克服
フィヒテはカントの
「物自体(認識できない外部の世界)」と
「現象」の区別を批判的に捉え直しました。
カントが残した
「人間には分からない領域」を排除し、
人間の理性が世界を
どう成り立たせているかを根本から問い直すことで、
理性と世界の境界を取り払おうとしました。
2. 「知識学」:あらゆる学問の基盤
フィヒテは自身の哲学を「知識学」と呼びました。
これは「知ることの働き」そのものを考察する学問であり、
他の何にも依存しない「根本的な知」を目指しました。
知る働きの出発点は
「AはAである(同一性)」の把握ですが、
この判断を成り立たせている背後には
必ず「判断する主体(=私、自我)」が存在します。
ゆえに、
知識学の第一原則は
「私は私自身を定立する(所定する)」
ことになります。
3. 核心概念「事行 (Tathandlung)」
事行とは、
「行為」と「存在」が一体となった
プロセスを指す言葉です。
行為が存在に先立つ
通常は
「存在があるから思考(行為)ができる」
と考えますが、
フィヒテは
「思考・活動するからこそ、自己や世界の存在が成り立つ」
と考えを逆転させました。
自転車の例え
自転車に乗っている状態は、
常に動き(行為)続けることで初めて
「乗っている自分」という存在が成立します。
世界もまた静止した物体ではなく、
不断の運動と生成の
プロセスそのものであると説きました。
4. 人間の使命と自由
フィヒテにとって、
理性が自ら世界を構成する活動こそが
「自由」の現れです。
倫理的活動
人間独自の理性の活動範囲を広げていくこと、
すなわち自由を拡大していくことこそが
「人間の使命」であり、
倫理的な生き方であると主張しました。
まとめ
フィヒテの哲学は、
世界の根源を外部の
「物」に求めるのではなく、
我々の内なる
「行為(自我の活動)」に見出しました。
これは、
主観(私)が客観(世界)を規定するという
「主観的観念論」の出発点となり、
その後のドイツ観念論の発展に
大きな影響を与えました。