- 2023/06/11
こちらの動画は、
現代哲学における
「他者論」の重要人物、
エマニュエル・レヴィナスの思想を解説したものです。
ユダヤ人として
ナチスによる
ホロコーストを生き延びた彼の経験が、
その哲学の根底にあります。
主な内容は以下の通りです。
1. イリヤ(il y a):非人称的な存在の恐怖
レヴィナスは、
身内が虐殺されたにもかかわらず、
何事もなかったかのように
平然と存在し続ける世界に対して、
言葉にできない恐怖を感じました。
概念
主語(私)がいなくても
「ある(il y a)」
という事態そのものを指します。
自分が死んでも世界は続くという、
逃れられない存在の重圧や
漠然とした恐怖のことです。
2. 他者論:無限としての他者
レヴィナスは、
他者を自分の理解や
コントロールの及ばない
「無限」な存在と規定しました。
エゴイズムの否定
従来の哲学(カントなど)のように、
他者を自分の観念の中に含めて
理解しようとする態度は、
自己完結したエゴイズムであり、
イリヤの恐怖から
逃れられない原因だと考えました。
外部性
他者は自分の外部にあり、
決して同化(理解)できない
「絶対的な他者」です。
3. 「顔(ヴィサージュ)」と倫理的責任
イリヤの恐怖から抜け出し、
エゴイズムを打破するために必要なのが
「他者の顔」
との出会いです。
顔の特性
ここでの「顔」とは、
身体的な部位ではなく、
「無防備で、
殺される可能性がありながら、
同時に
『殺してはならない』
と訴えかけてくる」
倫理的な特性を指します。
無限の責任
他者の「顔」と向き合った瞬間、
私たちはその他者に対して
「無限の責任」
を負うことになります。
これは強制的に生じる倫理的な抵抗力です。
4. 私とは「他者に責任を負うもの」
レヴィナスにとって、
人間(私)の定義とは
「他者に対して無限の責任を負う存在」
そのものです。
自分だけが生き残ったことへの罪の意識や、
ホロコーストという極限の経験から、
「人は何のために生きるのか」
を考え抜いた末の結論です。
結論
レヴィナスの哲学は、
他者を自分の都合よく解釈するのではなく、
その「異質さ」や「不可解さ」を
そのまま尊重し、
無条件に責任を引き受けることで、
平和で倫理的な世界が築かれると説いています。