納富信留「プラトンの問いかけ」

この動画は、
東京大学のオープンキャンパスで行われた
納富信留教授による模擬講義
「プラトンの問いかけ」
を収めたものです。

哲学の基礎から、
プラトンの著作である
『国家(ポリテイア)』に登場する
「ギュゲスの指輪」のエピソードを題材に、
正義や幸福について深く考察しています。

1. 哲学とは「対話」である

納富教授は、
哲学を単なる「思考」ではなく、
「他者との対話を通じて
自分の思い込みを壊していくプロセス」
として定義しています。

アポリア(行き詰まり)

知っていると思っていたことが
実は分かっていないと自覚する段階が、
哲学の出発点です。

テキストとの対話

プラトンの書いた「対話篇」を読むことは、
2400年前の哲学者と現代の私たちが対話することであり、
それによって自分の生き方を見つめ直す営みです。

2. ギュゲスの指輪:究極の思考実験

『国家』第2巻で語られる、
透明人間になれる指輪を手に入れた
羊飼いギュゲスの物語を読み解きます。

問い

「もし誰にもバレずに何でもできるとしたら、
それでもあなたは正義を貫きますか?」

グラウコンの主張

人間が正義を守るのは、
単に
「他人に見られていて、
罰せられるのが怖いから」

に過ぎない。

もしバレないなら、
誰でも欲望のままに不正を働くはずだ、
という過激な問いかけです。

### 3. プラトン(ソクラテス)の回答

この問いに対して、
プラトンは全10巻に及ぶ議論を通じて
反論を試みます。

魂のあり方

不正を働くことは、
たとえバレなくても
「自分自身の魂の形を壊し、
醜くしてしまうこと」

である。

真の幸福

欲望を垂れ流しにする生き方は、
自分自身をボロボロにしてしまい、
本当の意味で幸せにはなれない。

人に見られていようがいまいが、
正しく生きることこそが
自分の魂を最も健全な状態(幸福)に保つ道である、
と結論づけました。

4. 想像力と「超越」

教授は、
哲学をする上で
「想像力」が極めて重要だと説きます。

「ギュゲスの指輪」のような
あり得ない状況を想像することで、
現実のしがらみや欲望を超えた
「本当の自分はどうあるべきか」
を考えることができます。

イデア論の本質

目に見える現実だけがすべてではなく、
その背後にある
「本当の価値」(イデア)
を真剣に考えることで、
限られた人生を超えていこうとする姿勢です。

結論

この講義は、
プラトンの問いかけが
いかに現代の私たちにとっても
切実なものであるかを示し、
「より良く生きる」ために
自分自身を更新し続けることの価値を伝えています。

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