- 2020/02/16
心理学者スタンレー・ミルグラムが解き明かした、
人間が権威に屈してしまう
心理メカニズムを要約します。
ミルグラムは、
普通の人間が特定の条件下で
いかに簡単に残酷な行為を行ってしまうかを
実験で証明し、
現代組織における「悪」の正体を暴きました。
1. ミルグラム実験:服従の証明
1960年代に行われたこの実験は、
ホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)
のような惨劇が、
なぜ「普通の人々」の手によって行われたのかを
解明するために計画されました。
実験の内容
「教師役」
の被験者が、
問題を間違えた
「生徒役」
に電気ショックを与えるというもの。
電圧は15Vから始まり、
最大450Vまで上昇します。
衝撃の結果
生徒役(役者)が絶叫し、
意識を失ったような演技をしても、
白衣を着た
「研究者(権威)」から
「続けてください」と指示されると、
約65%の人が
致死レベルの最大電圧まで
スイッチを押し続けました。
教訓
残酷な行為は、
必ずしもその人が悪人だから行われるのではなく、
「権威への服従」という心理状態によって、
道徳心が麻痺してしまうことで起こるのです。
2. エージェント・モード(代理状態)
ミルグラムは、
権威に従っている時の精神状態を
「エージェント・モード」
と呼びました。
責任の放棄
自分を
「誰かの意志を実行する道具(エージェント)」
と見なすことで、
「自分は指示に従っただけ。責任は命令した側にある」
と考え、
自身の行動に対する罪悪感を
切り離してしまいます。
正当化の心理
自分の良心に反する行為でも、
「仕事だから」
「上の指示だから」
と正当化し、
さらには
「罰せられる(電気ショックを受ける)相手が悪い」
と被害者を非難することすらあります。
3. 現代社会における「組織的な悪」
現代の組織では、
責任が細分化されているため、
誰も「自分が悪を行っている」
という実感を持たずに
残虐なことが進行します。
責任の不在
・指示を出す人(手は下さない)
・書類を作る人
・ボタンを押す人(指示に従っただけ)
このように誰もが
「自分は役割を果たしているだけ」
と考えることで、
巨大な悪が完成してしまいます。
日常に潜む服従
会社の不正への加担、
いじめへの同調、
世間の常識への盲従など、
私たちは日常的に
「エージェント・モード」
に陥っています。
4. 服従から脱し、「自分」を取り戻すために
服従することは、
自分で考え、
責任を負うという
「自由の重圧」
から逃れられるため、
精神的には「楽」な側面があります。
解釈を疑う
権威や多数派が押し付けてくる
「これが正しい」という解釈を、
一度立ち止まって
冷静に疑うことが重要です。
バランスの探求
全てを疑うのではなく、
信頼すべき権威を認めつつも、
「自分の道徳感と照らし合わせて疑う」
という絶妙なバランスを保つことが、
自分を失わない唯一の道です。
まとめ
ミルグラムの言葉は、
「人は服従している時、
自分を機械のように扱ってしまうが、
その結果、
心は葛藤と不満で満たされる」
ということを教えてくれます。
目の前の指示や常識が
本当に自分の価値観と一致しているか、
一度「心の目」を開いて
見つめ直す勇気が必要です。